50MHz Transcever Mk-94 製作記
受信部の各ステージ




ANTからの受信信号は、送受信リレーを介してフロントエンドアンプのMFG4914Cによるローノイズアンプに送られます。この石は、HEMT(高電子移動度トランジスタ)とよばれるもので、放出品で安く手に入ったものの、本来は10GHz以上の周波数で使われるものです。ここでは、15dB程度にゲインを抑えています。

次に、Ga-ASFETの3SK183(松下)で増幅されます。ここでのゲインは約20dBほどです。この回路はMk-92のフロントエンドと同じです。Mk-92の開発時に購入した石があまっていたのと、安定していて、高ゲインが得られるため採用しました。
コイルのQを高めるために、出力はデュアルで同調させています。コイルはすべてFCZ-7sです。

同じように、1stMixerもMk-92で採用した、2SK241をデュアルにして、ソース電極に局発を加えるタイプです。ここで50MHzの受信信号に対し、VFO回路で作成した44MHz台の信号に混合し、6MHzのIF信号に変換します。5から7dbの変換利得をとれるように、定数を選定しています。

6MHzに変換された受信波で、SSBとCWの場合は、この2SK241を使ったIFAMPで増幅されます。約15dBほどのゲインがあります。当初、FCZ-7sの7MHzや5MHzで実験したのですが、Qが低いため、サトーパーツで購入した7sボビンに20-4tの割合で巻いたコイルを利用しています。




1stMixerで6MHzに変換された受信波をAMモードで使用する場合には、1チップラジオICとして有名な、LA1600(三洋)で、2度目の周波数変換をし、IF増幅とAM検波を行います。AMモード時には、DDSで構成された、第2局発から5545KHz(6000-455)を3Pに加えて、455KHzに変換しています。
これも、Mk-92の回路の流用なのですが、実はこの回路に落ち着くまでには、かなりの時間を要しました。当初は、IFをSSB/CWも含め1つにして、IF増幅後にAM検波をゲルマダイオードで行う回路を考案したのですが、感度が悪く断念。結局、IFから分けて、AM受信部は独立した形で決着しました。





6MHzのIF信号で、SSBとCWモードの場合には、前記の2SK241で増幅され、ラダー型のクリスタルフィルタに入ります。このフィルタは送受信共用のため、ダイオードスイッチで信号の流れが変わります。受信回路の電源であるRXBが加わっているときには、D9とD6がONになり、「RX-IN」からの信号がフィルタに加わり、その出力が3SK114で構成されたIF増幅回路に加わります。この3段のアンプで約50dBのゲインがあります。当初、ここも、FCZコイルで構成していたのですが、Qが低く、7sボビンのコイルを使いしました。 各3SK114のGate2には、AGCをかけています、。





3SK114の3段アンプの出力は、NJM2594に入ると同時に、ゲルマダイオードの1N60で倍電圧整流され、直流化した電圧がSメータアンプと、LM324に送られ増幅され、3SK114のGate2にフィードバックされます。直流分が大きくなると、FETのゲート電圧が上がり、ゲインが下がる仕組みです。



3SK114で増幅されたIF信号は、バランスドモジュレータのNJM2594で、2ndOSCからのキャリアと混合され、低周波信号となって出力されます。これはRY1を通ってTR1+LM386ののAFアンプに加わります。AMモード時には、RY1がLA1600の出力をAF側に通す仕組みです。
ところで、このLM386は非常に発振しやすいので要注意です。現状かなりゲインを抑えて(つまり、大きな音が出ない)使用しています。できれば、他のICを使って改善したい点です。