OM諸氏の努力で今では「相互運用制度」が日本と各国間で締結され、WやVK(オーストラリア)といったハムがメジャーな国では、JAの免許のままで運用できます。特にWでは届け出すら必要ないため、RigやANTを持ち込めれば、そのままWx/JA*XXXのコールで運用ができます。そういった現状を踏まえた上で「それでもFCCの免許を取る」メリットはあるのでしょうか?
例えばDXバケーションで「KH2(グアム島)へ5日間行って無線をするからFCC免許を取るとメリットがあるか?」ということを考えてみます。残念ながら、こうした短期の場合デメリットばかりが目立つ気がします。
FCCの免許を取った瞬間にWx/JA*XXXでは運用できなくなる
例え貴局が日本では1アマでも、FCCの資格を持ったと同時に「相互運用制度」は利用できなくなります。どちらかを選ぶことはできません。持たなければJAの1アマ=W最上級のExtra級です。逆にWの4アマとも言える、Tchnician級だったりすると、Wの領土内ではHF帯にQRVできません。つまり、FCC試験を受けるからには上級(後述するGeneral以上)を取得しないと、無意味と思われます。
QSLカード
これが最大の問題でしょう。日本ではJARLが国内・海外問わず(相手国に連盟がある国だけですが)何枚でもカードを転送してくれます。しかしARRLはJARLと違い、連盟がカードを転送するわけではありません。ではWのHamはどうやってカード交換をするのでしょう。まず、US国内同士でははいわゆる「Direct」です。つまり、一枚ずつ相手局の住所を調べ、切手を貼って郵送するのです。
次に海外局宛てですが、これは非営利のボランティア団体(勿論、アマチュア局がやっている)が「Plifixごと」にあって、そこにまとめて送付します。また、受け取るときは、あらかじめ切手を貼った封筒(SASE)を、これもボランティア局に送っておき、一定期間ごとにたまったカードを送ってもらいます。(ARRLの会員・非会員を問いません)
よって、Wのコールで運用した場合、このWの方法をとるか「VIA JA*XXX」ということをアナウンスしてホームコールに送ってもらうかしなければなりません。対JAに対してはそうでもありませんが、対DX局に対してはスマートとは言いがたいと思います。
FCC免許を受けるには米国内に住所が必要
逆に、米国本土で実際にWx/JA*XXXを運用すると、このコールサインの特殊性故にかなり苦労します。ほとんどのWのHamは日本の無線家がWに渡米してレシプロ(相互免許)で運用したときのコールがWx/JA*XXXだとは知らないようです。まあ、貴局がPhoneのQSOが好きで、且つNative並の英語力があれば、彼らに説明すればいいことなので「大きな問題ではない!」といった声も海外経験の豊富なOMさんから聞こえそうですが、当局の場合にはUC(アンカバー)に間違えられたり、QSO中に何度も何度もコールを確認されたりとロクなことがありませんでした。当局の場合これがいやで、FCCの免許をとったようなものです。
数ヶ月以上という比較的長期や繰り返して渡米される予定があり、現地でも無線を楽しみたいという方にはFCC免許を取ることをお勧めします。